研究員のひとりごと

にわかな邦ロックファンが自分の思いのたけを吐き出す場所

「ゴールドフィラメント」への率直な感想

PENGUIN RESEARCHに「ゴールドフィラメント」という曲がある。

まずはこの曲について、お世辞も取り繕うことも、下手なフォローもなしに、正直に言おう。

 

なんで全人類この曲聞いてないの~~~~~!?

 

この一言に尽きる。

だっていいじゃんこれ。どう考えても今年のベストオブいい曲じゃん。

今すぐ実家に帰って、学校での出来事を話すように母ちゃんにこの曲を説明したい。そんで「あーはいはい」みたいな反応されたい。

 

ってなことは置いておいて。

とにかくこの曲、歌詞がいい。こんなもの書いておいてアレだが、俺は音楽的なことは全然分からない。文学部だし。いや文学部は関係ねぇか。

ということで歌詞を見ていこう。……と思ったが、この曲より先に「冀望」から見る。

 隠れ名曲「冀望」

「冀望」というのは「ゴールドフィラメント」より前に発売された曲で、ライブでもよく披露されている。しかしこの曲、これペンギンのライブいった人なら一度は経験あると思うけど、初回は『訳わからんまま終わる』。

いやびっくりしたよ。

「え、停電した?でも舞台上ちょっと明かりついて、あれよーよーなんか弾いてr……待って曲始まったんだけど」って感じで混乱していると「こぼれ落ちた未来に」って声が聞こえるんだから。あれはマジで事故だと思った。ごめんね。

まあ要するに会場の照明を全部落とすんです。ついでに言うと電球一つだけは点いてるみたいだけど、これに関しては初回では気づくの無理。少なくとも俺は分からなかった。

 

で、なんでこんな演出をするのかっていうと、世界に追いつめられて、自分や共に歩いてくれる人を見失った歌だから。

最近の音楽って「止まない雨はない」とか「明けない夜はない」とかそういう歌が多いじゃん。でも「冀望」はそうじゃない。どうしたって朝は来てしまうから、それまでのわずかな時間だけでも闇にうずくまって泣いていたいっていう、悲痛な叫びの歌。そして立ち止まることは許されない、そういう世界に抗う力なんて持っていない弱くて脆い人の歌。

下手に「悪いことばっかじゃないよ、きっと良いことあるから元気出して」って言われるよりよっぽどリアルで、俺らの歌だなと思わせる力があるような気がする。

 

 

話を「ゴールドフィラメント」に戻そう。この歌は「ゴールドフィラメント」だと「最悪」と表現されている。

しかしこの「最悪」は「超えてきた」らしい。

 

call my name

地獄よりもっと下で 始まった冀望の旅

「最悪」なら超えてきた ほらまだ居るぜ

 

見事な伏線回収。まさかの続編。胸アツ展開。おいオタクども、そういうの好きだろ?俺は好き。

で、こうきたBメロが今度はこうサビに繋がるわけだ。

 

泣いて征け

闇を征け

誰にだって救えやしない命だ

 

どん底の悲しみもそのまま抱えて、闇を進んでいく。だって自分を救うのは自分しかいないから。

いやもうね、これ聞いた瞬間俺は頭抱えたよね。うわ堀江晶太ってこんなにいい歌詞書けたんだって思った。これまでも十分いい曲書いてたけど、これは俺に刺さった。

 

ところで先ほど書いた歌詞の中には、オーディエンスも共に歌うコールがある。

call my name」、直訳すると「名前を呼んでくれ」となるこの英語。

これを聞いた時に最初に浮かんだのがこの歌。

 

最初の日が暮れるその頃に

僕らが出逢うのは まず孤独

誰かにこの名を呼んでほしくて

明かりの灯る街を探した

 

みんな大好き「旅人の唄」だね。

もちろんこれも堀江晶太が書いた詞だ。つまり少なくとも堀江晶太の中では、名前を呼んでくれる人がいる=孤独ではない、ということになる。

「冀望」は孤独な人の絶望を描いた歌だった。だって「貴方をなくしてどれ位だ」でサビが始まるくらいだから。しかし対照的に「ゴールドフィラメント」では名前を呼んで、と言える人が近くにいる。名前を呼んでくれる貴方がいたから夜が明けたし、そこに居てくれるだけで立ち続けることができる。

 

そして「美し過ぎた名」を呪いながら、その名を背負って生きていく決意をして、曲は終わる。

 

 

眩しすぎるな、と思う。あまりに力強い。ここまで俺は強くはなれないと心のどこかで思いながらも、どこか他人事には思えない、そう思わせてもらえない力がこの歌詞には宿っている。

それはmy nameじゃなくて”our name”と書いてあるからかもしれないし、一人一人が輝くゴールドフィラメントだと訴えるような横浜決闘の演出が、脳裏に焼き付いているからかもしれない。

 

この曲は他のファンにどんなふうに聞かれているんだろう、とたまに考える。静かに歌う人も、涙を浮かべる人もいるだろう。俺の場合はこれを聞くとき、どうしても力が入って拳を上げて振りかざしてしまう。なんだか応援歌のような気がするから。

それはステージ上で今まさに輝いているメンバーへの気持ちだし、自分や今フロアで一緒に音楽を楽しんでいる仲間への気持ちでもある。辛いこともあったけど、まだ頑張れる。一緒に頑張ってくれる人がいる。こんなに暖かくて楽しい場所がある。

この曲を聞くと、そう思えるのだ。

 

真面目くさったことをたくさん書いた。

この戯言で、少しでも多くの方にこの曲が届くように願う。